支払う義務があるのか、そもそも受け取る権利はあるのか。
結婚したりして退職した後も日本に戻らない人だって少なからずいるよね。
今回は海外移住組の年金についてまとめてみよう。
とても真面目な回になりそうだ笑
こんにちは。
スーツケース1個で生きるライトネシスト です。
現在シンガポールで妻とふたりで生活をしています。
今回はボクたちのような海外移住・海外居住の方のために『知っておくべき年金の知識まとめ』を作ってみました。
ぜひ参考にしてみてください!
・年金についてやっておくべき手続き
・任意加入の情報まとめ
海外移住しても年金を受け取ることはできる
まずはもっとも重要な事『海外に住んでいても日本の年金を受け取れるかどうか』ですが、結論から言うと年金を受け取る権利について、どこに住んでいるかは関係ありません。
海外在住者も問題なく受け取る事ができます。
例え仮に日本国籍を失ったとしても、です。
受け取るための条件を満たしていればどこに住んでいても受け取ることができるので安心してください。
年金を受け取るための条件とは?
では、年金を受け取るための条件とはなんでしょう?
『60 歳までに10年以上納めていること』
こちらが条件です(平成29年改正、2020年5月現在)
これまでは、老齢年金を受け取るためには、保険料納付済期間(国民年金の保険料納付済期間や厚生年金保険、共済組合等の加入期間を含む)と国民年金の保険料免除期間などを合算した資格期間が原則として25年以上必要でした。
平成29年8月1日からは、資格期間が10年以上あれば老齢年金を受け取ることができるようになりました。(引用:日本年金機構サイト)
*ただしこの期間について、海外在住者には特例があるので下記で詳しく紹介します。
年金受け取りの申請方法
日本国内、海外に関わらず年金は突然受給が始まる物ではなく申請が必要です。
海外居住者の場合は、書類の事前送付はされないため、海外移住者用の請求書類で自分自身で手続きする必要があります。
書類は日本年金機構のサイトからダウンロードしましょう。
≫申請書類のダウンロードはこちらから
また、海外在住で老齢年金を受給する場合には『現況届』の提出が必要となります。
現況届は年に1度、日本年金機構から誕生月の少し前に発送され、日本領事館などで発行された在留証明書を添付して提出する必要があります。
海外の口座でも受け取りが可能
申請が滞りなく完了するとあとは受け取るだけですが、日本の銀行口座に振り込んでもらう事はもちろん、海外の銀行口座で受け取ることも可能です。
海外居住者への年金の支払は、外国送金の方法に基づき行われています。
そのため、海外に居住して年金を受け取る場合は、届書「年金の支払を受ける者に関する事項」(PDF 352KB)の提出が必要です。(引用:日本年金機構サイト)
海外の通貨で受け取るという事は、当然為替の影響を受けますので、日本の口座での受け取りと海外の口座での受け取りは実際の額でどちらがよいか検討をしてから決めましょう。
海外移住者が知っておくべき国民年金の基礎知識2選
次は海外在住で年金について検討されている方は、絶対に抑えておくべき2点をご紹介していきます。
納付しなくても受け取り条件を満たす『カラ期間』
先ほどの項目で、年金の受け取り条件は『10年以上の納付していること』と書きましたが、海外在住者にはその期間に特例が認められています(2020年5月現在)。
『カラ期間』と呼ばれており、日本で転出届を出し海外に住んでいる期間は年金の納付歴がなくても必要な年数にカウントされるという物です。
例えば日本で5年間の納付歴があって、海外に5年住んでいた方は海外にいる間年金の支払いをしていなくても受け取りの条件を満たすことになるのです。
ところが、こちらには一点注意があります。
現在の年金の仕組みは『納付した金額によって受け取れる金額も決まる』という大前提があります。
つまり海外在住期間内に年金を納付していない場合、受け取りの条件は満たせても、実際の貰える額はとても少なくなってしまう可能性があると言うことです。
「じゃあどうすればよいのか」
それは別途下記の項目でお話ししようと思います。
居住国で支払った年金と日本の年金を合算できる
年金は居住している(住所登録している)国で加入するのが原則です。
次に日本でも納付歴があって、居住国でも年金の支払いをしていた場合はどうなるのでしょうか?
例えば、日本で8年間年金を納付し、その後他国に移住して20年間その国の年金に加入していたとします。
日本での年金加入期間は8年間で、受けとるのに必要な10年間に達していません。
そんな時は『社会保障協定』という制度を利用できる場合があります。
この協定は、2カ国間で加入していたそれぞれの年金の加入期間を合算して取り扱うことができるという物。
つまり先ほどの例の場合、年金の合計加入期間は8+20=28年間として計算し年金を受給することができるのです。
しかしこれは日本と協定を結んでいる国のみで使用できる制度で現在は下記の国が対象です。
23ヶ国と協定を署名済で、うち20ヶ国は発効済み(2020年5月現在)
協定が発行済の国 | ドイツ |
署名済未発効の国 | イタリア(2009年2月署名) スウェーデン(2019年4月署名) フィンランド(2019年9月署名) |
居住国がこの中にあって、両方の年金制度に納付した経歴がある方はぜひ大使館や、日本年金機構に確認をしてみましょう。
海外移住者は国民年金の納付義務がなくなる
日本では年金を支払えないという方もいるかと思いますが、20~60歳までの40年間の支払いは原則『義務』です。
しかし転出届を出して海外に住んでいる人はどうなるのでしょう?
答えは『国民年金の納付は義務ではなくなる』です。
海外に居住することになった時は、国民年金は強制加入被保険者ではなくなりますが、日本国籍の方であれば、国民年金に任意加入することができます。
(引用:日本年金機構より)
つまり海外に移住した後も支払い続けるかどうかは任意となり、どうするかは自分で決める事ができるのです。
しかも先ほど海外転出者への特例として、納付していなくても期間としてカウントされる『カラ期間』も適応となります。
「え?だとしたら払わないほうがいいじゃん」って?
ちょっと待ってください。
先ほども申し上げた通り『老後、年金がいくら受け取れるかは納付した金額によって変わる』のです。
海外在住で『カラ期間』が適応されるからと言って納付を止めておくと、もし日本で老後を過ごすことを決めて年金を受け取れるタイミングになった時に満足する額をもらえない可能性も出てくるということです。
そのためにあるのが『任意加入』という制度です。
海外移住時の年金任意加入の金額と納付方法
駐在員として海外へ出ている人や、老後はやっぱり日本に帰ってゆっくり過ごしたい方で、海外居住中も年金の任意加入を検討されている方も多いでしょう。
任意加入について以下にまとめました。
国民年金・任意加入の納付金額は?
ボクは任意加入で毎月年金を支払っていますが、その金額は16,410円です(2020年5月現在)
国民年金は厚生年金と違って収入によって支払額が変わったりはしませんので、どんな方もほぼ同じような金額での納付になるはずです。
また、任意加入被保険者も将来受け取る年金額を増やすことができる付加保険料を納めることも可能です。
≫付加保険料についてはこちらから
国民年金・任意加入の手続きについて
国民年金の任意加入は下記の場所で手続きが可能です。
これから海外に転居する人
お住まいの市区町村窓口
現在海外に居住されている人
日本国内における最後の住所地を管轄する年金事務所または市区町村窓口
居住国の日本大使館などでは手続きはできません。
渡航前や帰国時に該当の場所で手続きをしましょう。
国民年金・任意加入の納付方法について
保険料を納める方法は下記の方法があります。
- 国内にいる協力者が本人の代わりに納める
- 日本国内に開設している預貯金口座から引き落とす
- クレジットカード支払い
国民年金・任意加入の意外なメリット
国民年金の任意加入は老後のためだけに納付する物だと思われている方も多いですが、実はそれだけではありません。
万一のときに遺族基礎年金や障害基礎年金を受給できる可能性が高くなります。
任意加入をすることで受給できる可能性のある公的年金
・海外在住中に死亡した時:遺族基礎年金
・海外在住に病気やケガで障害が残った時:障害基礎年金
任意加入をしなかった場合、このような恩恵は受けられない可能性があります。
海外移住時の国民年金についてまとめ
ここまで海外移住もしくは在住の方に向けて年金の情報を書いてきました。
最後にこの記事の内容をまとめます。
・海外在住中は納付しない間も『カラ期間』が適応される
・社会保証協定が結ばれている国は要チェック
・海外転出者は年金の支払い義務はなくなる
・年金の任意加入のメリットとデメリットを理解しよう
「実際にあなたはどうしてるの?」
そんな声が聞こえてきそうですが、ボクは任意加入をしています。
その理由を別の記事にまとめていますのでぜひ読んでみてください。
「私たちの年金はどうなるんだろう」「海外在住だけど任意加入で払うべき?」「みんなはどうしてるんだろう」そんな不安と疑問に一個人の意見として参考にしてもらえればと思います。 こんにちは。[…]