パソコンと私たち人間は似ている?
豊かな人生を送るために必要なものはなんでしょう。
卓越した技術?
豊富な知識?
幅広い人脈?
確かにどれも大切な要素のひとつですが、なんとなくそれだけでは幸せになれないと感じてしまうのはなぜでしょう。
ボクは人生を豊かにするために必要なキーワードは、たったこれだけなのではないかと考えています。
『ソフトとハードのバランス』
パソコンはいいソフトを入れても、それに適したスペック(ハード)がないとその能力を発揮できません。
また、高スペックのハードでもソフトがチープだとただの宝の持ち腐れです。
これって人間も似てると思いませんか?
知識(ソフト)ばかり多くて思いやりのない言葉を発する人。
素晴らしい人格(ハード)を持っているのに言葉足らずで勘違いされる人。
そんな人がみなさんの周りにもいませんか?
本屋に行くとHow to的な内容や『すぐに身につく○○』などのタイトルがついた本が平積みされているのをよく見かけます。
こういったテクニックを紹介する本を否定したいのではありません。
自分の人生を豊かにするためには、それらを身に付けるだけで果たして十分と言えるのか、そう思うのです。
ボクはこういった知識やテクニックのことをソフトと呼んでいます。
一方、ハードとはそれを扱う私たち自身。
体や人格、信念なんかがそれにあたります。
このふたつがコンピューターのように、良いバランスが取れていてこそ、その能力を発揮し豊かな人生に導くことができるのだと考えているのです。
心のバランスが取れない原因は?
昔読んだマンガの中で、読書が大好きな子どもとその母親がこんな会話をします。
「どうして本を読んではいけないの?」
「あんたには経験が足りないからよ。“体験”と“言葉”は同じ量ずつないと、心のバランスがとれないのよ」
ー五十嵐大介 『魔女』より
言葉はそれを扱う人格が伴って初めて良い力を持つ。
そして真の人格を育むのは体験や経験である。
ボク自身もついつい暇になると本を手に取ってしまいますし、なんとなーく世の中に『本はたくさん読めば読むほどいい』という流れを感じるのも事実です。
本をたくさん読むことが悪いとは思いません。
ただ時々こんな質問を自分自身にするようにしています。
『本から得た分だけの経験もしているか?』
情報や知識が安く大量に手に入る時代になりました。
しかし、それを扱うにふさわしい人間として自分たちのハードは追いついているだろうかと考える。
最新のソフトを手に入れてもハードがWindows98じゃ話にならないんです。
それはボクたちが時々感じる「やり方はわかっている。なのにうまくいかない」という状態を生み出しているかもしれません。
旅も人格を育む体験のひとつと言えるでしょう。
先ほどのマンガにはこんなセリフも出てきます。
『いちども空を見たことがない人が『晴れた空は青い』と言ったら、言葉は間違ってなくても、それはウソなんだわ』
時々この言葉がボク自身にも刺さります。
知識と体験、言葉と人格、技術と身体。
バランスを無視したソフトは時にハードをフリーズさせてしまうこともあるのです。